旋回と跳躍と

フィギュアスケートに関してあれこれ思い巡らせたことの記録です。過去に出したものもまとめているため、時系列は歪んでいます。

[etude#1] Hommage to Charlie

2023年7月1日、町田樹さんとAtelier t.e.r.mによるエチュードプロジェクトが始動しました。 予告として5月2日のトークショー(プリンスアイスワールド横浜公演の期間に行われたイベントの2次会)でティザー映像の披露があり、それから2か月とても楽しみにし…

ついに単行本刊行④

感想のような読解メモのようなもの、続き。 第Ⅳ部の社会調査分析は、私も嬉々としてアンケートに回答した身なので、研究の役に立てたのかどうか大変気になっていました。回答形式が多様で自由記述が多く、これは回答集計するのが大変そう、一人じゃ無理なデ…

ついに単行本刊行③

感想のようなもの、続き。対象の書籍はこちら。 第Ⅲ部は、町田さんによる詳しすぎるプログラム解説というだけで期待しちゃうのですが。 もちろん軽い論調ではなく、ずっしりみっちり重いこと重いこと。第Ⅰ部でaestheticとartisticの違いや、ルールと表現の関…

ついに単行本刊行②

町田さんの著書、一通り読み終わりました。気になったところを読み返しながら感想のようなものを書いておきます。第Ⅰ部はスポーツはアートか否か論争について。美的(aesthetic)と芸術的(artistic)の概念や、表現の主体はどこにあるか、ルール設計や競技…

ついに単行本刊行①

町田樹 著『アーティスティックスポーツ研究序説 —— フィギュアスケートを基軸とした創造と享受の文化論』 * ∞ * ∞ * ∞ * ∞ * 町田さんの、研究者として初の著書が上梓されました。おめでとうございます。 学術書を発売日に予約して買うなんて、初めてです。…

ACTION ゲスト回

TBSラジオACTION、町田樹さんゲスト回を聴きました。出演部分の書き起こしです。

ORF2017

4年前、ヘーゲルの美学講義を「わからない」と言いながら読んでいたアスリートが、五輪で闘って、そして研究者の道に進んで。 次の五輪シーズンには、スポーツの未来のために必要な哲学を示している。 2017年11月22日、慶應SFC・ORF2017に一般参加し、パナ…

[22]Boléro:origine et magie ③

スケートの快楽に目覚め、駆け巡るムーブス・オン・ザ・フィールド。 (構成【16】Ⅸa-Ⅸb) Aメロの主題と応答で、位置を変えて同じ動きを反復する。 ピンクが主題(a)、青緑が応答(b) です。 すべて繰り返しではなく、はじめと終わりが少しアレンジされていま…

[22]Boléro:origine et magie ②

ジャンプ簡易図。 2回転・3回転と、クライマックスのバレエジャンプをピックアップしました。 略図なので、誇張したイメージで描いています。 暗く静かなコンテンポラリーから始まるプログラムなので、 観ているほうも緊張感で身体が強張り、視線が演者に…

[22]Boléro:origine et magie ①

凍てつき静まり返った湖面に現れて 氷の硬さを確かめておもむろに始めるコンパルソリー。 やがて旋回し、跳躍し、滑りから踊りへ熱を帯びていく。 トレースは呪術でもかけていそうな対称性図形です。 詳細を見るのでトレースを分割します。 (構成【0】Ⅰa-Ⅰ…

[22]Boléro:origine et magie (楽句構成)

ボレロは、楽句の対称的な反復が特徴で、曲全体が壮大なクレシェンドとなっています。 Aメロ(メジャー)主題→応答、 Bメロ(マイナー)対主題→対応答、という構成が基本です。 約15分におよぶ原曲の構成と、町田さんの編曲を解析してみました。 使われたの…

[21]Swan Lake:Siegfried and His Destiny

バレエの舞台をなぞった演劇的な作品という印象ですが、ステップがやたら華やかなのも特徴。 S席から見ていたので、何度もリンクいっぱいつかって踊っているのはよくわかりました。 なにしろ伝統的なステップの3様式を入れたのがこだわりのようなので、 ト…

[20]Don Quixote Gala 2017:Basil’s Glory

若者らしさと歓喜が弾ける、快活な作品。 3幕構成のなかで、じわじわと好きなのが第2幕「夢見るバジル」。 やわらかな旋律にあわせた、優雅なコレオに見とれてしまいます。 トレースしてみたのは幕のはじめから、対面に到達するまで。 ストレートラインの…

[19]Ave Maria

トランペットのロングトーンを活かしたリンク大横断アラベスクが見どころ。 ジャンプを跳ばないという、主張の強さが横たわる作品でもあります。 そのせいか、スケーティングや音楽との調和を意識して見てしまいます。 トレースを描いてみたのはこの作品から…

はじめに

フィギュアスケートは、子どものころからお茶の間ゆるゆるファンとして見ていましたが、 ルールも試合の種類もよくわかっていませんでした。 2013年にテレビで偶然 町田樹選手の特集を見たのがきっかけで コンセプトのつまったスケートに惹かれ、アイスショ…